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 第1次大戦休戦記念日で祝日。11 月に祝日が2日あるのは日本と同じ。
 午後から職場へ。誰もいない中、デスクワークとか仕事と関係ないネットとか。

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■ 映画『崖の上のポニョ宮崎駿監督(2008)★★★☆☆

 日本を出る前日に見に行った。公開前から世間でなまじ話題になっていたので、自分は周辺情報も「ゴローのために作った」とかいう監督の私的モチーフも気にしないことにして、なるべく映画本体のみを享受しようという意気込みで。しかし冒頭シーン、手を水平に伸ばして海に何かを注いでいる痩せぎすの長髪男…
 「あ、目玉焼きを作るハウルだ!」
 この瞬間に私の中で、駿は過去の自作の数々の要素を(最後の作品になるかもしれない)本作で再現したかったのだろう、という仮説が固まってしまい、以後は本筋よりも過去の宮崎作品との共通点探しに血眼になる。
・崖っぷちを曲芸走行する小型自動車カリオストロ
・元気いっぱい裸足で走って懐かしい人の元へ戻ってくる幼女 → ハイジ
・鏡のような水面に浮かぶ非現実的な光景 → 千と千尋
・怪しげな中年男、元気なおかみさん、威勢の良いばあさん等のキャラ → (略)

 5歳児の生態や願望はよく描写されていた。何といっても荒波の上をダイナミックに走るシーンには胸が熱くなる。走ることを覚えたばかりで、毎日走り回るのが楽しくて仕方ないような幼児が見れば、さぞ強い共感を抱くだろう。一方、人間から半魚人(鳥も入ってるような…)に戻る過程はグロテスクであまり積極的に思い出したくない絵だけれど、可愛い小さな者がちょっとした外因で心を閉ざしたり変わり果てた姿になってしまう危険性がある、というオトナへの警告に思われた。これが駿にとっての吾朗の姿か?
 いつもながら、ファンタジー世界のルールは私にとって不可解だ。深読みすることは可能とはいえ、確信のある回答を得られない深読みをする気になれない。まあいいか、ぼくは5歳児じゃないから、などと自分に言い訳して、最後は筋についていくことを放棄したのだった。(9/7 鑑賞)