曇のち晴

 装置部屋は業者が作業しているので主にデスクワーク。昼休みに同僚と雑談中、私のフランス語習得の話題になった。覚えている数少ないフレーズを喋ったら、発音は良い、と言われた。問題はボキャブラリーだ。文字のみの本よりも、字幕付き映画などで、音と文字を同時に学習するほうが効果的だと言われる。やはりそうか。
 退勤後、また半袖シャツ2枚買う。

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・『栄光なき天才たち 鈴木商店編』作・伊藤智義 画・森田信吾(2002 集英社
 BOOK OFF で2ユーロで購入した廉価版コミック。これをきっかけに原作者の伊藤氏のウェブサイトへ行ってみた。本作の連載時は大学生だった彼も、現在は千葉大学教授。研究の一方で漫画原作も時折続けているようだった。
 そしてサイトにはなんと、自身の手がけた漫画原作がすべて全文掲載されている。こういう例はほかにあまり見ないね。完成漫画と比べてみると違いが面白い。総じて伊藤氏の原作のほうが台詞や説明の分量が多い。漫画化する際にそうした説明的部分が割愛されたり、逆にマンガ的な演出が加えられたりといった改変がかなり施されたことがわかる。鈴木商店編でいうと「ハハハハハッ! こんなにもうけちゃっていいのかなあ?」「早く!! 私は忙しいのだ!!」「ウソじゃ…ウソじゃあーっ!!」といった印象的な台詞が、どれも原作段階にはなく、漫画化の際に加えられたものだった。へえ、と思う。
 完成漫画が出回っているのにあえて自分の原作をサイトで公開した原作者の心境はどんなものだったのか…としばし考える。漫画化の際の大改変に不満があったのかな。まあ単に漫画に盛り込めなかった詳しい時代背景や補足説明の情報を提供するということかもしれないけど。