曇のち雨

 朝9時に集合し、同僚らと部屋の掃除をして装置を待つ。昼前に雨の中を装置が運ばれて来た。建物のエレベータは小さいので、5個の木箱はすべて運送業者が地上で開梱してから搬入。7ヶ月ぶりの対面である。使い慣れたエキシマレーザーや真空チャンバーが姿を現した時は「よく無事でここまで…」という旧友再会に似た感慨が強かったが、細かい物品のチェックを進めるにつれ、追いつめられた状況で1個1個物品を包んでいた昨年秋の気持ちが蘇って来て、なんともいたたまれない気分になる。
 当初は旧職場でやっていた製膜を再現することから始めるが、今後は順次新たなパーツを付加して技術を向上させていく計画。当地で順調に製膜ができるようになって研究が軌道に乗ったときに初めて、装置出荷のときに感じていた閉塞感を克服できるのかもしれない。
 長時間立ちっぱなしで足が疲れた。

 吾妻ひでお氏の公式の日記を読んでいて「蹌踉と」という言葉を初めて知る。フランス語や英語はおろか、日本語においてすらまだ自分の語彙は十分とは言えないのだ。寝る前にベッドで少し本を読む程度で語彙が増えるわけがないだろう!