晴一時雨

 3月末に受理された自分の論文とそっくりな内容の論文が、つい先日、別の雑誌に掲載されたことを知る。実物を見て類似点の多さにびっくりした。著者はこの分野でバリバリ論文を出している海外のグループ。受理された日付は奇しくも自分の論文と全く同じ日のようなので、少し気が楽ではある。しかし投稿日はあちらのほうがだいぶ早い。自分の論文が盗作疑惑をかけられないだろうか。もっともあちらの投稿日より2ヶ月以上前に自分はこのネタで国内学会で講演しているから、いざとなれば学会の予稿を見せれば疑いは晴れると思うのだが。時々ある「偶然同時期に違うグループが同じ成果を出す」現象の一つか、誰でも思いつくような大した事ないネタだったか、もしくは自分の学会発表を相手が聞いていたのではないか(何の根拠もないけど)…などといろいろ考えてしまう。心中穏やかでない。
 とにかく、チンタラやってちゃ駄目だな。他人を出し抜こうとするアグレッシブな研究者がいくらでもいる世界に生きているのだ。学会発表の半年後に論文化なんて遅すぎたのだ。今回の件はかなり刺激になった。他者と競争しているという実感を事あるごとに感じていないと、怠慢な研究者になってしまう。