学習漫画

 今日から出勤。休み前に測定したデータ解析とか。

■『光と音の魔術』わちさんぺい・絵(1958 集英社
 小学生の頃、集英社の『なぜなぜ理科学習漫画』というシリーズ(全12巻)を夢中になって読んだ。宇宙、地球、動物、鳥類、機械など、ジャンルごとに巻が分かれ、子供に興味を持たせるようなトピックが短い漫画で語られていた。巻ごとに異なる漫画家を起用していて、いろいろな絵柄を眺めるのも楽しみだった。数年後に、一部を除き漫画家も一新して新たに書き下ろした新版が発行されたが、各巻のタイトルとジャンル分けは旧版とほぼ同じだったことを覚えている。

 さて西武の古書まつりで標記の本を見つけた。同じ出版社、似たシリーズ名だが、これは昭和33年発行とのことで、私が親しんだ本よりもさらに古い。どうやら前身らしい。このシリーズは私が思っていたよりも長い歴史を持っていたのだった。少なくとも昭和33年版、昭和39年版、昭和49年版の3種類が存在したというわけだ。
 内容的な変遷にも興味があったので買ってみた。やはり私の読んだ昭和39年版とは漫画家が違い、個々のエピソードのストーリーやオチは異なっているが、扱われている科学トピックはほとんど共通していることが判明。自分が昔読んだ内容の記憶が一つ一つ呼び起こされてきて面白い。
 中には少々怪しい記述も含まれている。3原色に塗り分けたコマを回すと黒く見えるが、虹の7色に塗り分けたコマは白く見えるとか。そうそう、あったあった。そういえば例の「木の年輪で東西南北がわかる」というガセを堂々と載せていたのもこの漫画シリーズである。どうやら新版を出すときにあまり検証せずに前の版のネタを踏襲していたようだ。

 しかしながら理科学習漫画という分野は(知る限り)この昭和33年のシリーズが最初に開拓したのではないかと思う。つまり、出版社は違うけれども『ひみつシリーズ』(内山安二)や『まんがサイエンス』(あさりよしとお)の元祖でもある。その流れは現在も脈々と‥‥と言いたいけど、今は『まんがサイエンス』以外にこの手の作品の新作は見当らないね。子供にアップトゥデートな科学の楽しさを教える漫画がもっと出てほしいですな。