無観客/ロビンソン

 たまたま夕食を食べた店でTVがついていたので、珍しくW杯予選を(前半だけ)見る。観客席まっ白の異様な光景。だがスタジアムの外でサポーターが太鼓鳴らして応援する声が聞こえる。あとで見たのだが、試合に勝ってバスで帰る選手たちにサポーターたちが群がる様子はいつにも増して印象的で、ふと『ダイ・ハード』を思い出した。距離を隔てて互いに姿が見えない状態で、闘う人とそれを応援する人の心の交流。闘いが終わって両者が対面したときのえも言われぬ感動。無観客試合という措置はサポーターの心情を通常以上に高ぶらせたにちがいないと思う。闘いに勝つことは簡単ではないが、勝つために闘うことは大切だということを改めて思った。

 なんとなく『ミセス・ロビンソン』を口ずさみつつクリーンルーム作業した後、デスクに戻ってネットを見たら、ミセス・ロビンソンを演じたアン・バンクロフトの訃報が目に飛び込んできたのでちょっとびっくりした。『卒業』の時は35才か。意外に若かったんだな。この映画は二十台前半の頃、私のベスト1だった。バンクロフトはこの役の印象で見られることが不満だったそうだけど。