『巣立つ日まで』

 実家に泊まり、日曜はまた昼間から妹一家を交えて宴会。夜、羽田から飛行機で石川県に戻る。2日連続の飲みはさすがにきつかったが、いろいろな人といろいろな話ができて実に楽しい2日間でした。
 あっ、明日も飲み会だった!

■『巣立つ日まで菅生浩(1973 ポプラ社
 読了。昭和20年代福島県郡山を舞台にした、中学生男子3人組の青春物語。遠出する時に目覚まし時計をぶら下げて行くとか、池で泳いだり鳥の巣を見つけたりといった遊びなど、純朴な時代や土地柄を感じさせるディテールに惹かれる。小説の映像化が必ずしも成功するとは限らないが、もし今から映画化するなら、あえて昭和20年代のモノクロ映画そのままの雰囲気の画像処理やタイトルロゴを導入してほしい、などと考える。
 そして異性への淡い想いと悲しい別れが、恋や愛といった言葉を使わずに語られる。少年のあまりの初々しさが時代背景と相まって胸に迫った。たまたま自分もココロが高校時代に戻ったばかりだったので余計に感情移入してしまったのかも。ピュアな中学生っていいなあ。
 さて1975年にNHKでドラマ化されたほうは、粗筋しか知らないが、ストーリーがかなり原作本から変更されていたことがわかった。何よりも、ドラマでは妙子と父が北朝鮮へ帰って行くエピソードが印象的だったのだが、原作にはそんな話はなく、北朝鮮人という設定ですらなかった。ドラマの脚本家が帰還事業のことをどうしても描きたいと思ったのか。やはりドラマと原作は別物と考えるべきか。ともあれドラマ映像を観る事ができない現在、原作本で靖や怜子たちの物語に触れることができたのは幸福だった。