『北の零年』

■『北の零年行定勲監督(2004)
 明治初期の北海道の話というと『シュマリ』(手塚治虫)が印象的だが、実写でこの時代・土地の物語を観たのは初めてかも。
 前半は、四国から北海道に移民してきた500名が生活を立ち上げて行くまでの苦闘の物語。江戸から明治への時代の変化についてゆけずにとまどうサムライとその家族たち。後半は、新しい町が出来上がるも、ならず者が首長になったり国が民衆に無茶な要求をしてきたりして、忍耐を強いられていた人々が、ついに団結してお上に反旗を翻すまで。
 うーん、ちょっとテーマと話を詰め込みすぎだな。3時間では足りない。なんか大河の総集編を見ている気分。ただ何もない原野に、厳しい冬の気候に耐えながら生活基盤を築くことの、壮絶な苦労は伝わって来た。

 新しい町の建物は洋風で、洋装の人々が馬で行き来している。牧場があり、原住民との交流がある。
 あっ、これは西部劇だな。
 アメリカの西部開拓史と、日本の北海道開拓史は、大道具小道具や時代背景がきわめて似通っていることに改めて気付かされた。たぶん北海道の町作りを米国人が指導した歴史があるのだろうから、雰囲気は似ていて当然かもしれないけど。
 脚本には首をかしげたくなる箇所が多く、映像もピンボケだらけで、作品としての完成度は高いとは言えない。しかし日本にも開拓者精神があったことを見せてもらえたので、まあ良しとしましょう。