発明報酬訴訟

 日亜が中村氏に200億円支払うべしという判決が出て以来、雨後のタケノコのように元勤務会社に訴訟を起こす研究者が現れているのは、どんなもんだろうか。
 中村氏の場合は、在勤中から会社との関係が険悪になって飛び出したり、先に日亜が訴訟を起こしたりという因縁があった。多分に感情のもつれという要素があった。
 その後に訴訟を起こした人々はどうなんだろう。ずっと前に円満退社しておきながら、中村判決を見て今更「やっぱりあの時のお金下さい」と言っているだけでは? あの人がもらえるなら自分も、という日本人的発想が働いただけの人はいないか?

 三菱の自動車のクラッチやハブに欠陥が発見され(かつそれを隠蔽し)たために会社が現在大打撃を受けている。この場合、欠陥クラッチを設計したエンジニア個人に会社が損害賠償を要求するかというと、そんなことはない。そう考えると、「利益をもたらした時だけ法外な報奨金を支払えというのはおかしい」という日亜側の主張にも一理あるような。
 まあもちろん報奨金2万円という論外なケースを始め、会社が発明者の社員に支払う報奨金が概して少額だということはある。どっちもどっちだ。だいたい会社側の言う2万円と発明者側の主張する200億円という金額の間に6ケタもの開きがあることが異常で、その間に適切な(会社側が最初から支払ってしかるべき)金額というものがあったのではないか。2000万円くらい渡しておけば誰でも喜んでおとなしくしてるだろうに。