大人買い

 ははははは、買ってしまった。
 『みんなのうた』DVD12巻セット。
 全144曲、すべて放送されたままの映像と歌だ。レコード会社の関係で放送の時と違う歌手が歌っているなどということもない。そして昭和36年の放送開始時から最近までまんべんなく選曲されている。白黒の時代の映像などはほとんど消失しているかと思ったら、案外残っていたのだな。本当に『みんなのうた』ファンはこういう企画をずっと長い間待ち続けていたのだった。当時ラジオで聴いて好きになったけどテレビで見る機会がなかった歌とか、昔の曲で題名だけ知っていて気になっていた歌などがいくつも収録されていて嬉しい。早速懐かしい「キャッツ・アイ・ラブ」「バケツの穴」など視聴。

 『ステージ101』といい、最近の私は幼少時に親しんだ歌ばかり買いまくっている気がしないでもない。でも考えてみたら最近に限ったことではなく、懐古趣味は10代の頃からずっと持ち続けているのである。ただ、今までは見たくてもなかなか見られなかったお蔵入り映像(音源)が、最近は情報技術の発達でいろいろな手段で入手できるようになってきたということがある。あまり簡単に手に入るようになるとかえって興味を失ってしまいかねないので、そのへんは難しい。

 「過去は戻れないからステキなのよ。未来は分らないからステキなのよ」(石森章太郎『ジュン』より)

 といいつつ、『金魚屋古書店』に登場する果てしない巨大地下書庫に、ありえないとわかっていてもウットリしてしまう今日このごろ。懐古趣味はまだ続くのであろう。