トリビアネタより(その2)

(2) 音楽用カセットテープに映像を録画できるカメラがあった

 これは先週のネタであるが、わたし的には最近のピカイチだった。思わず「おお!」と感嘆の声を上げたほどだ。
 「ビデオテープも音楽用カセットテープも同じ磁気テープなんだから、音楽用テープに映像を録画できるのではないか?」と思ったことのある人は多いだろう。
 『まんがサイエンスVII』(あさりよしとお、2000年)にもその話が取り上げられている。登場人物の女の子が上記の疑問を口にして、皆から笑われる。そこへビデオの精みたいなのが現れて、映像情報は音声情報よりも情報量が遥かに膨大であること、そのため映像用テープに映像情報を記録するためには特殊な仕組み(回転ヘッド)が必要であることを説明する。しかしそれを聞いた上でなお、少女は最初の疑問に立ち戻る。じゃあその仕組みを使えば音楽用テープに映像を録画できるんじゃないの? 「ダメだこりゃ」と皆が肩を落として一応話は終る。でも彼女の疑問は至極もっともだ。画質を落とすなり、テープ走行スピードを速くするなり、それ専用の回転ヘッドを開発するなりすれば、音楽用テープに映像を記録することだって可能なはずだ。

 トリビアで紹介された、1987年に米国で玩具として発売されたカメラは、映像情報の精度を200分の1に落とすことで音楽用テープに映像と音声を記録する。見たところ走行スピードは速めだったけど、回転ヘッドなどは使っていないようだった。で、記録された映像は白黒でかなりぼやけた無気味なものだった。それでもその映像は、上の疑問のかなりの部分を解消してくれた。『まんがサイエンス』の少女もこれを見れば納得したのではなかろうか。
 どんな荒唐無稽な疑問に対しても「できっこないよ」と頭から否定するのではなく、「やろうと思えばできるけど、こんなふうになるよ」と示すのがサイエンティフィックな議論だ。大人がみんなそうなれば、子供の理科離れはなくなると思う。