論文誌

 10月に米国の雑誌に投稿した論文2本の返事が立て続けに来た。1本は受理されたが、もう1本は「他の雑誌に投稿したほうがより多くの人の目に触れるでしょう」という編集者のコメントとともに査読もされずに突き返された。このような反応は初めてだ。バレーボールの試合に例えると、サーブしたあとでコートを間違えたことに気付くようなものか。いや、心情的には一方的に無効試合を宣告された気分である。
 聞くところによると、この米国雑誌は日本からの投稿があまりに多いので、しばしばこういう理由をつけて門前払いを食わせるらしい。そう、日本人は米国の有名誌に投稿したがる傾向がある。米国誌はそれをうざったいと思っており、一方、日本で発行される英語論文誌への投稿件数が伸び悩んでいるという深刻な問題もある。もっとウチに投稿してほしいという日本論文誌編集者の立場はわかるけれども、投稿者としてはインパクトファクターのより大きい雑誌に投稿したいのは道理である。もし今後、研究者の業績を評価する側がインパクトファクターよりも自国雑誌であることを重要視するような風潮が出てくれば、あるいは流れが変わるのかもしれないが。