コンクリ

 「タモリ倶楽部」をたまたま見たら面白い企画をやっていた。学生3人のグループ8組がそれぞれの作ったコンクリートの円柱を持ち寄り、どれが一番強い力に耐えられるか競うというもの。材料や作成プロセスにそれぞれ工夫をこらしている。評価には破壊試験機を使い、場所も東海大工学部でロケ。こんなマニアックな(専門的な)ネタでバラエティ番組を1本作ってしまうなんて、この番組以外には考えられない。

 参加学校は国立大あり私立大あり専門学校あり夜間部あり、さらに工学部の研究室グループもいれば‘土木研究会’なるサークルからの参加もいて多士済々。大学の偏差値や、本業/趣味に関係なく、「強いコンクリートを作る」という単純明快な目的のもとには誰でも同じ土俵で勝負するというコンセプトが心地よかった。
 つい自分の仕事に類推してしまう。どの学校が最も良質な高温超伝導体の薄膜を作るか競争する企画はどうだろう、などと。‘良質’の定義を具体的に定めないといけないけど。そういえば16年前の超伝導フィーバーの時はまだどんな物質が高い臨界温度を持つかまったく謎だったので、大学の研究者も高校の理科教師も普通のサラリーマンまでが「自分にもチャンスがある」と意気込んで新物質探索に熱中していたものだった。何においても黎明期の熱気というものがある。

 コンクリート対決の結果は、我が母校・東理大が圧倒的強さで優勝を決めた。なかなかやるじゃん。