10万バリキ

 新『鉄腕アトム』の飛翔シーンのBGMは、西武ライオンズの応援歌に似ていた。まあそれはともかく。

 音楽も映像も明るく楽しい。ヒロ・ヤマガタ描くカーニバルの絵のよう。これは新しいアトムであって新しいアトムでない。最新のアニメ制作技術を駆使しつつ、1950年代の連載初期に手塚氏が夢想していた未来図に忠実な世界が描かれている。アトムの顔立ちも過去3回のアニメ化の中ではいちばん初期アトムに近い。
 気になる時代設定だが、西暦何年とは具体的に明言していなかった。そりゃ現実が2003年になってしまっては、エアカーが飛び交う作中の時代を2003年とは言えないよな。

 未来が“びっくり箱”だった時代の未来図。
 今、未来が明るく楽しいと思っている人は少なくなったらしいけど、そんな世の中にこのアニメの前向きなメッセージが届くかどうか見守っていよう。