コムロマンガ

 12日が誕生日でした。また馬齢を重ねてしまったよ。
 一年の抱負は正月に決めたので、今さら抱負を述べる心境でもなく、むしろ世の中の人々がいい仕事をしている年齢にとっくに入っているのに自分ときたら‥という焦りを新たにした日であった。

 話変わって、『まんてん』で、漫画家志望の山田花子の家を、大物漫画家の小室等が突然訪ねてくるシーンがあった。
 この小室等演ずる漫画家は、実際の漫画家で言えば誰のような立場にあたるのだろう、と少し考えてみた。
 白髪混じりの頭に毛糸の帽子をかぶった老人で、それでいて自分のキャラの描かれたおちゃめなTシャツを着ているところなど、なんとなくやなせたかし氏のようだ。でもやなせ氏が少年コミック誌の新人賞応募作品を見るかな。
 小室等の、ヒゲ・長髪・眼鏡という特徴は、しばしば水島新司氏との類似が指摘されてきたね。
 一方、大物でありながらまだ芽も出ていない漫画家のタマゴに突然会いに来るという行動は、手塚治虫氏を思わせる。手塚氏が実際にそういうことをやっていたのかどうか知らないが、あの超多忙な中で、知名度の低い若き漫画家たちの作品に人一倍目を光らせていたらしい。『編集王』のラストには手塚氏らしき“マンガの神様”が新人の漫画家のアパートを突然訪ねて激励するシーンがある。

 でも『まんてん』の大物漫画家は、その後のシーンでフォークギターを弾きつつ自作の歌を披露していた。
 しかもうまい(あたりまえだけど)。
 こういう漫画家は、現実には見たことないです。

 結局、このひとは一体どういう漫画を描いているのだろう。アンパンマンドカベンかアトムか。ああわからん。