絶対音感

■『絶対音感最相葉月(1998 小学館
 「絶対音感がある」と一口に言ってもどうやらその能力レベルはピンからキリまであるらしい。以下、この本やいくつかのTV番組を見た上で、私の独断と偏見で音感能力を段階分けしてみる。

【レベル1】ピアノでポーンと弾かれた単音を聴いてその音名(AとかF#とか)を言える。これだけで世間からは絶対音感の持ち主と呼ばれる。

【レベル2】ある音名を言われてその高さの声が出せる。合唱団にこういう人がいると重宝するらしい。人間音叉。

【レベル3】グラスやティーカップなどをチーンと叩いた音の音名を言える。高嶋ちさ子がTVでこれを披露していた。共演者が「じゃあ、これは?」と机か何かをドンと叩いたら「それは(わかるわけないですよ、だって)叩いた音じゃないですか」。グラスのチーンだって叩いた音なんだが(笑)。

【レベル4】ピアノで一度にポーンと弾かれた6つの音の音名をすべて言える。音楽教室に通う幼児たちがこれをやってるのをTVで見てびっくりした。

【レベル5】2ヘルツの周波数の違いを聴き分ける。千住真理子は普段、A=440Hzで合わせたバイオリンを弾いているので、他の演奏家がA=442Hzで合わせようとすると気持ちが悪くなるとのこと。ここまでくるとすごいの一言。

 でもこの本で、作者が膨大な人数の音楽関係者にインタビューして得た絶対音感に関する結論は「あれば便利だが、なくても困らない」ということのようだった。音楽をやらない一般の人はなおさらで、日常生活で役に立つ場面といえば、カラオケで調の上げ下げを瞬時に判断できることぐらいであろう。もしくは飲み会でお銚子を叩いて「今のはEだ」とか言って得意になってみたり。イヤミだね。
 おそ松くんのイヤミって本名も井矢見さんっていうんだって。どうでもいいか。