うどんのようなもの

 夕食はプリュムロー広場に近い日本料理店『SAKURA』へ。店の外観からして、どう見ても日本人が経営しているとは思えないデザイン。それを承知で試しに入ってみた。注文するとき、ウェイターに「あなたは日本人ですか?」と聞かれたのでそうですと答えたら「えっ、日本人なんですか!?」と驚かれた。そんなに日本人客が珍しいのか(あるいは私の容貌が中国人ぽく見えたのか)。まあほとんどの日本人は入るのをためらうタイプの店には違いない。国籍の話に乗じて「この店に日本の人はいますか」と聞いてみたら、いないという答えが申し訳なさそうに返ってきた。やっぱり。おそらくスタッフ全員中国人であろう。そういう日本料理店はこの国では、日本人による日本料理店よりもはるかに多い。
 出てきたうどんは…一人暮らしの学生がありあわせの食材で作ってみたうどんという感じ? マッシュルームが入っていたりして、具材のセンスもどこかずれている。“日本料理”と称されているものを食したことで、かえって日本から遠い場所に自分が居ることを実感してしまった。

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 先週の初夏の陽気から一転して冷え込んでいる。夏服の展示をしているショーウィンドウの前を、コートにマフラー姿で歩いている。