晴時々曇

 少し散歩に出た他はだらだらと過ごす。

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赤塚不二夫

 幼少の頃、物心ついた時にはニャロメ、ケムンパス、シェーが日常的にすぐそばにあった。近所の理容室に行くたびに2冊だけ置いてある『おそ松くん』を読むのが楽しみだった。リアルタイムでマガジンに連載されていた『天才バカボン』は型破りすぎてとっつきにくかったな。踏み込んではいけない領域のような気がして少し怖かった。今なら面白く読めるのだろうけど。

 赤塚ワールドは空気のような存在だった、20 年前までは。少年サンデー 30 周年記念誌(1989 年)に寄稿された赤塚氏の短編を読んだ時、そのあまりのつまらなさ、暗さに面食らった。自分の中ではあの時には赤塚氏は漫画家として既に死んでいた気がする。晩年の闘病生活も痛々しかった。なので訃報を目にしても、今さら悲しみや喪失感は湧いてこなかったのだった。

 ただ、若い頃はほっそりした紅顔の美少年だったとか、もともとギャグではなく少女漫画を描いていたとか、売れなかったので仲間の漫画家の手伝いをして過ごしていたとか、少年時代に苦労して満州から引き上げてきたとか、いろいろなエピソードを聞くにつれ、一般に認識されている「ギャグ王」の姿だけでは彼を語り尽くせないのは確か。ギャグ作家としてあまりに強いインパクトを世間に与えてしまったので、以後はギャグ以外のことは表現したくてもできない状況になっていたかもしれない、と邪推したり。ともあれお疲れさまでした。