それはお前を食べるためさ

 オープンラボを開始。ウチの研究室で使わなくなった物品を並べて、他の研究室の先生や学生がその中から欲しい物を持って行く、一種のガレージセールである。準備中は物品の配置を考えたり案内をわかりやすくしようと試行錯誤したり、物品のうちどれくらいを売り捌けるかなどと心配したり、まさに文化祭の準備をする中学生状態。蓋を開けてみたら予想以上に引き合いがあってほっとした。GW を挟んで5月9日まで計6日間行なう(ちょっと日程を長くし過ぎたかと思わないでもない)。
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 「フラミンゴの足問題」とともに、子供の頃納得が行かなかったのが「キリンの首問題」とでもいうべき以下のやりとりだった。

 問題:キリンの首はどうして長いの?  答:高い枝の葉っぱを食べられるように。

 これはとんちなぞなぞではなく科学読み物でよく見るやりとりだけど、納得できなかった。自ら欲すれば生体構造に変化をもたらすことが可能だというのか。じゃあ空を飛びたいと願えばヒトにも羽が生えるのか?「高い枝の葉っぱを食べたい」という要請と、実際に首が長くなったという結果の間を結びつけるメカニズムが、子供の頃の自分にはどうしてもわからなかった。後にダーウィンの適者生存とか自然淘汰とかの話を知って、ああそういう複雑な種の進化過程を子供向けに簡略化したのが上の回答なんだな、と一応納得した。しかし

 問題:おばあさんの目はどうしてそんなに大きいの?  答:それはお前の姿をよく見るためだよ。

 この場合は対象が種でなく個体なので淘汰もクソもないよな。まあ否定するわけではないけど、考えてみたらちょっと不思議な会話だなと思って。