コンビニの期限切れ食材は有効利用してほしい

 締め切りのある仕事は昨日で一段落ついたので、残り2ヶ月強における研究プランや予算消化について考える。もう1本くらい論文を書けたらいい。

■『誰も知らない』是枝裕和監督 (2004) (ネタバレあります)
 遅ればせながら DVD で鑑賞。全編、できるだけ演出臭さを排し、あたかもドキュメンタリーのような手法で作られている。
 母親が家を出て行き、残された4人の兄弟が、自分たちだけで生活するという胸の痛む話。次第にお金がなくなり、生活が荒れて行く反面、子供達は厳しい状況で生きるために知恵をめぐらせ、工夫する。そして子供の1人が死んでしまうという決定的な悲劇が起こる。しかし私の予想に反して、残った子供達は最後まで警察や福祉相談所に発見されもせず、誰も知らない子供だけの生活はなおも続いて行く、という結末だった。ラストシーンの明るい映像は彼らの前向きな姿勢を示唆する。

 警察等の保護を受けなかったのは、互いに離れたくないという理由で子供たち自身が取った選択だった。それは自分たちの生きる力と現実の厳しさを秤にかけた上での判断だったろう。もしこの先本当に皆が危機に陥ったら、彼らは警察に行くことも考えるだろう、と私には思われる。なぜなら彼らは常に生きようとしているから。誤解を恐れずに言うと、人間、窮地に立っても(立ったときこそ?)本来持っている生きる力を発揮するものだという、希望の物語であると思う。『失踪日記』(吾妻ひでお)が大勢の共感を呼んだのも同様の理由ではないか。

 出奔した母親役の YOU は子供みたいな無邪気さで、不思議な存在感があった。結果、「あんなに楽しそうに子供と遊ぶ母親が、長い間子供を放ったらかしにするとは思えない」という感想を持ったのも確か。映画のモチーフとなった現実の事件は悲惨きわまりないものだったことから、この映画の、悪人は一人もいないかのようなファンタジックな描き方には、賛否両論あるらしい。けれども私は、悲惨な題材をあえて希望の持てる映画に仕立てた是枝監督のメッセージを受け入れたい。

 余談だが、最近のダイハツミラの CM で YOU と母子を演じていた青年が柳楽優弥君だったことも今日知った。おお。