『田宮模型の仕事』

 出勤直後から夕方までクリーンルーム作業。
 今日も良い天気だった。空は快晴、風が心地よく、田んぼには水が張られて目を和ませる。秋にも今ぐらいの気温にはなるけど、乾いた風と水田の光景はこの季節ならではだね。

■『田宮模型の仕事』田宮俊作(2000 文春文庫)
 読了。プラモデル界に次々に新しい風を巻き起こしてきたタミヤの社長の回顧録。面白くないはずがない。模型に注がれる強い情熱。逆境や取引先の無理解に自分の頭と手で立ち向かい、壁を乗り越えてきたエネルギー。転機となった様々な人との出会い。そしてその創造物が世界中の模型ファンに熱狂的に受け入れられる。まさにものつくり人間の幸福を具現化したような軌跡だった。
 ミニ四駆の改造に打ち込む子供たちの記述を見て、我が意を得たりという気持ちがした。近頃の子は不器用になったとよく言われるが、興味さえ生じれば子供らは驚くべき創造力を発揮するのである。さて、では何が子供を不器用にするのか。刃物や火を使わせない親にも問題の一端はあると思うけれど、今の時代、手を動かさなくても娯楽がいくらでも手に入ることが一番大きい原因だろう。ミニ四駆のような子供らを熱狂させる手作業ホビーが登場したことはほとんど奇跡と言っていい。結局、子供らはミニ四駆の‘勝負’の要素に惹き付けられるのであって、手作業はそのための手段に過ぎないのだと思った。まあそりゃそうか。