『スウィングガールズ』

■『スウィングガールズ矢口史靖監督(2004年)
 事前にTVで紹介番組を見た。作中でスウィングガールズを演じる女の子たちは実際ほとんど楽器経験がなく、映画のために合宿して猛特訓して、本当に3ヶ月でセッションができるまでに上達したという裏話が印象的だった。そして公開直前の夏休み期間中、彼女らは東北地方を回って街頭ライブを行なう。スクリーンから登場人物が飛び出して一般市民の目の前に現れるというのはインパクトがあるな。現実と虚構の壁がなくなる。これは漫画には真似できない。
 で、レイトショーを観に行ったが、こちらは正直あまり楽しめなかった。美味しいところはほとんどTVで紹介済みだったし、古典的なドジを繰り返す女子高生、極端な見栄っ張りの数学教師などに私はついに感情移入ができなかった。どうも話をわかりやすくしようとしすぎたあまり、30年前の漫画のような深みのない話になってしまったようだ。イノシシ退治なんかよりも、素人の彼女らがどうやって人前で演奏できるまでの技術を身につけるかという、音楽的な積み重ねの過程をもっと描いてほしかった。
 もちろん大観衆の前での演奏シーンは大盛り上がりで楽しい。結局、映画はつまらなかったけれどもスウィングガールズというバンドには惹き付けられたってことかな。今も彼女らは山形の高校で補講に苦しみながら、次のライブに向けて新曲に挑戦しているのかも。