漫画家残酷物語

 出勤前に金沢のパーツ屋に寄って実験に使う機器を買う。この性能にしてはきわめて安価な機種だ。MADE IN CHINAではあるがいちおう国内のメーカー。webで調べたり直接メーカーに問い合わせたりして事前に可能な限りの情報を検討して購入を決めた。
 備え付けのマニュアルを見るとどうも変な日本語だし、あからさまな誤字はないものの脱字が目立つ。ああ、印刷も中国でやっているのか。実際に運転してみた。やっぱり安いだけのことはあり、操作性や安定性にやや難がある。こういう些細な情報は使ってみないとわからないのだ。まあ今回の目的には95%使えると思うけど、5%くらい不安。賢い買い物をしたと言えるか、安物買いの銭失いとなるかは、今後明らかになるであろう。

 倒産した出版社から大量の漫画生原稿が作者に無断で流出し、漫画古書店で売られていることが発覚した問題。漫画が雑誌に載ったあとの生原稿が作者に返却されず杜撰に扱われているとか、原稿料の支払いが滞るといった事態は、とくに弱小出版社では珍しくないようだ。昭和30年代初期に「漫画少年」の学童社が倒産したとき、すぐさま漫画家たちの間に情報が走り、トキワ荘組のある漫画家はその日のうちに編集部に駆け付けて、書類の山の中から自分の生原稿を探し出して紛失を免れたという話を思い出した。今回の件は、もちろん原稿を勝手に売り払った出版社の何者かが罪を問われるべきだが、漫画家の側も今まで危機意識が希薄すぎたと言わざるを得ない。いつも愛読している4コマ誌では大丈夫なのか心配。これを機会に編集者と漫画家の間で契約書を取り交わすといったシステムが普通になればよいのだが。