危機

 ついに彼の国の指導者は最終通告とやらを発したと。

 「オレがルールブックだ」と言う腕っぷしの強い奴ほど嫌いなものはない。
 力の強いほうが正義だと思っている。だから誰の忠告にも耳を貸さない。ハナから論理的な議論のできる相手ではないのかもしれない。

 「もしも」は言っても意味ないことだが、もしブッシュとデッドヒートを演じたゴアが大統領に選ばれていたら、同時多発テロも今回の戦争の危機も無かったのだろう。あの時、微妙なところでアメリカは悪い方の道を選んでしまった。
 だがタカ派の人物とハト派の人物が喧嘩をしたら、タカ派のほうが有利だというのも事実。何たって戦いが好きなんだから。ブッシュがゴアに勝ったのは避けられない宿命だったのか。

 その理屈でいえば、好戦的な者がやがて有無を言わさず世界を牛耳って行くことになる。
 しかし、言い古されたフレーズだけど、力対力の戦いを続けていればいつか憎悪の渦巻く世界になってしまう。

 地球の環境危機が叫ばれ、人類が少しでも長く生き延びようとしている時に、そんなことやっている場合じゃないだろう。